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税法解説

暗号資産の税率引き下げと損益通算、繰越控除(令和8年度税制改正大綱)

2026.03.06

令和7年12月に公表された令和8年度与党税制改正大綱により、暗号資産税制の抜本的な見直しが示されました。これまでは最大55%の累進税率が適用される雑所得でしたが、今回の改正で株式投資などと同様の申告分離課税へと移行します。具体的な実施時期は未定ですが、想定される制度の内容を整理しました。

1. 暗号資産税制が「総合課税」から「申告分離課税」へ

今回の改正案における最大の柱は、暗号資産の税率が一律化されることです。

・【改正前】税率は最大 55%(累進課税)
・【改正後】一律 20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)

これまでは利益が大きくなるほど税率も跳ね上がる仕組みでしたが、改正後は株式投資やFXと同様、利益の額に関わらず一律の税率となります。また、給与などの所得とは切り離して計算するため、高額な利益を得た際の税負担が大幅に軽減されます。

2. FXや先物取引との「損益通算」と3年間の「繰越控除」

改正案には待ち望んでいた「損益通算」と「繰越控除」が含まれています。暗号資産デリバティブが先物取引等に係る雑所得のグループに分類される見込みです。

・ビットコインFXの損失を外国為替FXや日経225先物の利益から差し引けます。(逆も可能)
・その年に控除しきれなかった損失を翌年以降3年間にわたって繰り越せます。


暴落の年に出した大きな損失を、翌年以降の相場回復時の利益と相殺できるため、長期的なリスク管理や、ポートフォリオの選択が楽になります。

3. 海外取引所やマイナー通貨は「対象外」のリスクも

新しい税制の対象は、国内の登録業者で扱う「特定暗号資産」等に限定される方針です。 今話題の「なんとかトークン」や、海外取引所やDeFi(ウォレット等から金融機関を通さない取引)での利益は、引き続き最大55%の総合課税のまま据え置かれる(場合によっては厳格化)方針も示されています。
どの口座で、どのような手段で取引するかは要注意です。


令和9年以降となる適用時期と現行税制への注意

ここが最も重要なポイントです。
今回の改正は金融商品取引法などの関連法の改正が前提となっています。最短で令和9年(2027年)1月1日からの取引が対象となる見通しですが、法整備の状況によっては令和10年以降に遅れることも考えられます。
・法案成立の翌年1月1日から施行されるため、見込みだけで動くのは危険。
・令和8年(2026年)中の決済には確実に新税制は適用されません。
・今年中に決済を行うと、現行の税制(最大55%、通算繰越なし)が適用されます。

新規注文は問題ありませんが、決済タイミングはよく注意すべきです。

ちなみに法律施行後の状況として、株式の税制改正時も、FXの税制改正時も取引量は大きく増えてました。その時の値動きを確認すると、面白いかもしれません。


まとめ

令和8年度税制改正大綱は日本の暗号資産市場を大きく変えるきっかけとなりますが、現時点ではあくまで案の段階です。適用開始は数年先になる可能性が高く、現在の取引には古い税制が適用されるという事実に十分注意してください。焦らずとも、制度改正後には市場が大きく動きます。今は正確なニュースをじっくりと待つ時期だと考えます。


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