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業種あんない

「貿易業②」 ~輸入取引~

2023.11.07

〇輸入と言えば、食品・アパレル・原料!?

衣料品の99%は輸入

 前回、貿易業①として輸出取引についてご案内しました。今回は輸入業のご紹介です。弊所の顧問先では繊維・化学製品・機械・食品の輸入をされている方がいらっしゃいます。日本は資源不足です。まだまだ途上国と比べると人件費も高いです。(先進国の中では最低レベルの賃金水準らしいですが)日本経済自体が輸入なしには回らない作りです。食料自給率はカロリーベースで38%、エネルギー自給率は12%、繊維(衣服)に至っては1%!99%が輸入に頼っています。衣食住のうち「衣」と「食」は、輸入に頼りっぱなしですね。

〇輸入時に関税と消費税

全世界から輸入されてくる

 輸入業において税務上最も気を付けるべきは、輸入消費税の取り扱いです。日本国内で仕入をしたり、物品を購入したりする場合には、消費税も一緒に支払います。領収証・レシートを確認してもらえば、消費税額が記載されていることでしょう。

ところが海外から輸入する場合は、代金に消費税は含まれていません。海外の業者は日本の消費税を負担する義務がありません。消費税は国内取引に対して課税されるためです。海外の業者(輸入元)にとっては国外取引です。その物品が日本に入ってくる(輸入)時点で国内取引に変化します。日本で輸入する事業者にとっては、国内取引となるわけです。この場合、仕入を行う日本の事業者が消費税を負担するわけです。どのように負担するか?日本に輸入する段階で、税関に対して消費税を支払うことで負担します。

 気を付けて頂きたいことは、輸入時に税関で支払う消費税と一般的な商品代金で支払う消費税では、処理方法が全く違う事です。輸入消費税は税関に支払います。つまり国に対して直接納税している訳です。言い換えれば納付すべき消費税の前払いと考えられます。ですから消費税の納税額を計算するときに、輸入消費税は納税額から直接差引いて計算することとなります。一方、一般の商品代金に含まれている消費税は違います。一旦全て購入代金と合計した後に、納付すべき消費税額の計算を行います。

税関手続きは複雑

貿易取引、輸入取引に不慣れな税理士事務所では、この処理に気が付ないようです。両者を混同してしまう場合もあるようです。輸入消費税や輸入商品代金を、国内での一般的な仕入取引として処理することはできません。多くの場合は納付税額が多くなってしまいます。税関で支払った消費税は、納付税額が直接差引く処理が正しい処理となります。

〇決済手段と資金担保の確立

商習慣の違いや商品代金の支払いについても、注意が必要です。海外事業者からの物品購入は、多くの場合、先払いを原則とすることが多いです。国内での取引は一般的に購入者が強いですので、後払いが多いですよね。信用が少ない場合でも現金(同時)払いです。海外の事業者としては、商品輸送後に代金回収リスクを負いたくないことでしょう。わざわざ海外から日本に取立てるには非常に手間がかかります。

決済手段の確立を

 つまり輸入取引を行うには一定の資金担保が必要になるということです。またその送金手段を確立しておく必要があります。海外の取引先へ直接振込むだけのでも、国外への資金移転には規制があります。振込でなくとも、L/C決済(※こちらはまたいずれ解説で)という方法もあります。ですが、やはり担保は必要です。

〇手の届かない部分は、商社や物流業者に依頼を

 税関手続きや資金決済を代行してくれる業者もあります。といいますかご自身で輸入の手続きを出来る方は少ないでしょう。(私もできません。)多くの場合は乙仲と言われる通関業者を通して、手続きや輸送を担ってもらう事となります。資金決済についても代行業者があります。業務を開始した当初はこういった業者に相談してみることから始めるのも良いかもしれません。

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