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業種あんない

いろんな能力が試される「飲食業」

2023.05.30

お食事は好きですか?私は食べたり飲んだりが大好きです。自分でも作りますし、立ち飲み屋さんからおしゃれイタリアンまで幅広くお店にも出かけます。プロフィールの趣味欄にも「料理とお酒」を上げさせて頂きました。もちろん予算の許す範囲なのですが。さて今回はそんな身近な業種である「飲食業」について税理士の立場からご紹介したいと思います。

〇始めるのは簡単だけれど

結論から言いますと、飲食業って難しいです。いろんな業種の中でも、成功が難しい業種の一つです。その廃業率は3年で70%、5年で80%と言われています(chat GPT調べ(嘘です))。みなさんも実感としてあるのではないでしょうか。もともとの飲食店がいつのまにか「居抜き」で違うお店になってスタート。当初はオープンイベントやお付き合いでお客さんが多いように感じます。でもしばらくすると誰も知らないままに閉店している。気が付くと同じ場所でまた違う飲食店が、、、飲食店がクルクル入れ替わる現象を結構みます。私の実感としても開業後1年以内に1/3が廃業するイメージです。

〇参入は簡単なんです

飲食店の成功が難しい理由は、経営側に求められる「能力の幅」が非常に広いからです。飲食業をスタートすることは比較的簡単です。起業する方の料理の腕は良いでしょう。でも実際には美味しくないお店でも長く営業できていたりします。それはブランディングが上手だったり、立地条件が良かったり、特別な仕入先があったり、従業員が魅力的だったり、インスタ映えしたりetc、、、。決して「味」だけではなく、多種多様な要素が作用しています。さらに以外かもしれませんが原価計算能力や人材管理能力、在庫管理能力、一般的な会社で必要とされる管理業務に関する能力も必須です。一つの業種で、仕入、製造(調理)、販売、広告、人事、経理、総務、など全ての能力を必要とする業種は多くありません。しかも家族経営のような形で小規模なスタートとなりますので、専門の社員を雇い入れる余裕もありません。

求められる能力の幅が非常に広く、多くの決断を、高いレベルで求められる事が飲食業の特徴と言えます。

〇他の業種と比べてみると

例えば同じく参入障壁が低い業界として介護業があります。介護業では原則として介護保険を利用しますので、介護サービスについての販売価格は固定されています。これが飲食業では提供する料理やお酒の値段設定は死活問題ともいえるほど重要な要素です。また、介護業には「仕入」という概念がありません。提供するものは介護サービスという役務です。原則として資格保持者が提供しますので一定の品質は保証されています。しかしこの「仕入」についても飲食業では非常に重要な経営要素となります。一般的な飲食業で原価率は30%~50%までです。利益を確定する要素の約半分が仕入次第とも言えますし、逆にいうと販売価格次第とも言えます。

〇消費税も複雑

このように飲食業は仕入も販売にもどちらにも繊細な能力が必要となります。そして適正な仕入価格(or販売価格)を設定しようとすると経理知識は必須です。特に飲食業は消費税の軽減税率の影響で、仕入食材は消費税8%ですが販売価格は10%の税率となります。さらには酒類の仕入は10%、持ち帰りの販売は8%です。販売側も仕入側も消費税の10%と8%が混ざり合います。全てを税込み金額で考えていては、結果的に想定していた原価率よりも高い原価率で販売していることになります。思いのほか消費税が多くかかる事もこの業界特有の事情です。ちなみに介護収入は非課税で消費税の知識が必要ありません。

さらに飲食業は、営業時間が昼と夜に分かれたり、休日営業が当たり前であったりします。そうしますと従業員の労働時間や割増賃金の管理が複雑になります。就労時間が不安定で人材確保は難しい。にもかかわらず業態として一人で営業はできませんので従業員の雇用は必須です。その他、具体的に他の業種との比較を想像してもらえば納得がいきます。飲食業にはほぼすべての経営要素が網羅されています。

〇成功させるには!?

くどいようですが飲食業には、一般的に経営者に求められるすべての経営要素について高いレベルの能力が要請されます。この視点から逆説的に飲食業を成功させる方途を考えてみます。飲食業を経営するには多種多様な経営能力が要求されます。当然ですがオールマイティーな経営者なんてほとんど存在しません。ですからできる限り必要とされる能力の「要素」を減らしていくことが必要と思われます。それも一つではなく、複数個の要素をつぶした形でスタートしないと成功は難しいでしょう。例えば・・・

  • 既に一定数の顧客があるお店を屋号ごと引き継ぐことで広告宣伝費をなくす
  • 食品の卸会社に勤めていた人脈を生かして原価率を下げる
  • 家族だけで開業することで人事管理を不要にする
  • 煩雑な経理・総務業務を税理士事務所に丸投げ外注する
  • 徹底的に機械化IT化した営業形態で調理から経理まで簡便化する

〇美味しい料理は前提条件です

飲食業を経営するにあたって考えておくことは、美味しい料理を提供することだけではありません。上記のような多種多様な経営課題が存在することを意識しておくこと。そして如何にしてその課題を解決したうえで開業にこぎつけるかという事になります。やはり上手くいっている飲食店には、「何か」あります。これは他の業種では当たり前なのです。そもそも他の業種では開業の条件にその「何か」が含まれていることがほとんどです。突出した技術や難関な国家資格、そもそも立上に大きな資金が必要であることなどです。これから飲食業を始める方。料理の腕に加えて幅広い能力を発揮できる体制をご準備ください。

〇顧問先の焼肉屋さんです

最後になりますがタクスリー税理士事務所の顧問先飲食店をご紹介します。いつもお世話になっている「炭火焼肉寿月」さんです。経理の奥様からコメント頂きましたのでご紹介します。寿月さんにはタクスリー税理士事務所のかえたいプランをご利用いただき、弊所に税理士事務所を変わって頂きました。

 遅ればせながら事務所のご開業、おめでとうございます!李先生とは、28年前の阪神大震災後の長田で出会いましたが、20代30代とそれぞれの道を歩み、私たち夫婦が焼肉屋を開業する際に、縁あって再会しました。お互い10代だったのが、つい昨日のようですが、もう随分おじさんおばさんになりましたね。 開業時は別の税理士事務所でお願いしていましたが、あまりにも杜撰な処理・対応に悩み解約。どこにもお願いすることもなく自分で処理しており、その際にはたくさんアドバイスをいただきました。そして待ちに待った李先生のご開業と同時に、正式にお願いすることになったのです。以前の職務が会計事務なので、税理士さんともたくさんやり取りしてきましたが、李先生の処理の正確さ、そして迅速な対応に驚いております。ついうっかり忘れていた100円の差額もお見事!ご指摘いただいたのには大変関心いたしました。まだまだしがない焼肉屋ですが、今後の目標もあります。ぜひこれから先も長い付き合いで、共に歩んでいければ幸いです。

阪急塚口駅から西へ歩いて10分ぐらい、五号橋線沿いのお店です。牛タンが絶品ですよ。

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