
2025.12.26

最近、「国税局業務センター」という名称を聞く機会が増えていませんか? これは、国税庁が進めている「内部事務のセンター化」という取り組みの一環です。
従来は各税務署で行っていた申告書の入力や内容確認などの『内部事務』を、国税局の専担部署(業務センター)に集約して行う仕組みです。 その目的は、税務署の事務を効率化し、より多くの職員が調査や相談対応といった『外部事務』に力を注げるようにすること。つまり、「税務署の働き方改革」を狙った制度改革なのです。
以前は一部での試行運用でしたが、令和8年(2026年)からは大阪国税局管内のすべての税務署で業務センター化が実施されることとなります。 ちなみに、尼崎市にある「業務センター阪神分室」は、大阪府や神戸市を除く近畿の税務署の処理を一手に引き受ける、全国最大の業務センターです(令和7年時点)。
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この制度によって、書類の提出先や問い合わせ窓口が一部変更されました。
・電子申告(e-Tax)の場合: これまで通り所轄の税務署へ送信します。
・書面で郵送する場合: 所轄税務署ではなく、『業務センター』宛てに郵送することになります。
ただし、税務署の窓口への直接持ち込みや、時間外収受箱への投函は引き続き可能です。 一方で、業務センターへ直接書類を持ち込むことはできませんので注意が必要です。業務センターでは税務相談や窓口業務は一切行わないこととなっています。
もうひとつ、納税者の方が混乱しやすいのが、業務センターからの問い合わせです。 申告書や届出書に記載ミスや確認事項がある場合、税務署ではなく業務センターの職員から電話や文書で連絡が来ることがあります。
ここで注意したいのは、文書による問い合わせは顧問税理士ではなく、直接納税者(本人)に対して行われるケースがほとんどだという点です。 「税務署ではない、知らない部署から文書が来た」と驚いて税務署へ電話をかけ直す方も多いようですが、実はこれが正式な運用となっています。
ちなみに、これらのやり取りを税務署側が詳細に把握していないケースもあるため、税務署へ問い合わせるとさらに混乱を招いてしまう可能性もあります。

業務センター化に伴い、現場でのやり取りの一部が変わっています。 「どこから問い合わせがあったのか」「どのような回答をしたのか」について、企業や個人事業主の方は、社内担当者や顧問税理士としっかりと情報を共有しておくことが大切です。
国税局の体制が変わっても、納税者として行うべき基本は変わりません。 「正しい書類を期限内に提出し、疑問点は早めに税理士へ相談する」。 これが一番のトラブル回避策となります。