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エフェクチュエーション~自然体の経営のすすめ~

2025.12.19

「計画どおりにいかない」「先が読めない」と感じる場面が、ここ数年で一気に増えました。生成AIの加速やコロナ禍、国際情勢の揺れなど、10年前には想像しづらかった出来事ばかりです。
そんな不確実な状況で注目されているのが「エフェクチュエーション」という考え方です。これは、サラス・サラスバシーという学者が成功を収めてきた起業家たちの共通点を研究し、その思考プロセスを体系化した意思決定理論を指します。

「成功を収めてきた起業家に見られる、従来とは異なる思考プロセスや行動のパターンを体系化した意思決定によって不確実性に対処する思考様式」というのがエフェクチュエーションの定義だそうです。「百戦錬磨の達人だけが持つ特別な勘」のようにも聞こえますが、実は私たちの日々の経営にも取り入れられる具体的なステップがあります。そのエッセンスを分かりやすくご紹介します。

従来型との一番大きな違い

従来型を意思決定理論をコーゼーションというのですが、「目的→手段→資源」の順番で考えます。まず目標を決め、そこから逆算して必要な人・お金・時間を集めるやり方です。 利益を上げることが目標となります。

対してエフェクチュエーションは逆に、「資源→手段→目的」という順番で動きます。自分が置かれた状況を最大限に活かし、「今持っているもので何ができるか」を試していく。その過程で、当初は思い描いていなかったような目標が育っていくのです。
安定した既存業務の改善には従来型のコーゼーションが合いますが、新規事業や業務改善、新商品開発のように「正解がはっきりしないテーマ」には、エフェクチュエーションが心強い味方になります。

5つの原則を『中小企業目線』で見る

エフェクチュエーションには、社長の意思決定を支える5つの原則があります。

① 手中の鳥の原則
・自分は何者か?(自身の性格、強み)
・自分は何を知っているか?(専門知識、経験)
・自分は誰を知っているか?(人脈、ネットワーク)
これらを棚卸しして、「この材料で試せる次の一歩は何か?」を考えます。

② 許容可能な損失の原則
「どれだけ儲かるか」より先に、「どこまでなら失っても大丈夫か」のラインを決めておきます。 月いくらまでの赤字なら許容できるか、週に何時間までなら新しいことに充てられるか。あらかじめ損失の限度を決めておくことで、失敗を恐れすぎず、学びながら次へ進むことが可能になります。

③ レモネードの原則
「酸っぱいレモン(予期せぬトラブル)を渡されたら、甘いレモネードを作ればいい」ということわざが由来です。 トラブルを単に避けようとするのではなく、チャンスに転換する姿勢を指します。クレームや原価高騰、法改正をきっかけに、商品改良やサービス見直しにつなげていくイメージです。

④ クレイジーキルトの原則
大小さまざまな布をつぎはぎするパッチワークのように、多様なパートナーシップで事業を作っていく考え方です。 自社だけで抱え込まず、外部パートナーや時には競合とも「組む」発想を持つことで、使える資源や可能性が広がります。

⑤ 飛行機のパイロットの原則
「自分でコントロールできることに集中しよう」という原則です。 景気や技術動向など、自分では変えられない外部要因に一喜一憂するのではなく、自らが「ハンドル」を握れる範囲の行動に注力し、未来を創り出していく姿勢を指します。

エフェクチュエーションでできるお手伝い

考え方としてはわかっていただけたかと思います。
経営者は孤独といいますが、税理士としてお手伝いできる部分もいくつか考えられます。

  • ・手中の鳥を考えること、決算書などの分析
  • ・許容可能な損失ラインを、利益計画と資金繰り表から一緒に設定
  • ・小さく始める新規事業や値上げのシミュレーション

こういった準備をしておくと、「とりあえず様子見」から一歩抜け出しやすくなります。「やりたいことはあるけれど、数字がモヤモヤして踏み出せない」という段階で構いません。気になったタイミングで一度声をかけてみてください。っと安定します。
「今の資金繰り、これでいいのかな?」
そんな不安を感じたら、ぜひ一度ご相談ください。

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